1.性的マイノリティについて

 

 性的マイノリ ティとは、何らかの意味で「性」のあり方が世の中の多数とは異なる人びとの総称です。例えばレズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー などが挙げられます。レズビアン(女性同性愛者)・ゲイ(男性同性愛者)・バイセクシュアル(両性愛者)は、心の性(自分の性が男性または女性のどちらで あるかという認識)と体の性が一致しているものの、恋愛対象が世の中の多数とは異なる人びとです。その一方で、トランスジェンダーは心の性と体の性が一致 していない人びとです。トランスジェンダーの中でも、体の性を心の性と一致させるための医療的な行為を必要とする人は、法律や医学の用語で性同一性障害 (GID)と呼ばれます。

 


 以上のようなレズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの他にも、性器や性腺、染色体の性別があいまいだったり一致しなかったりする性分化 疾患(DSD)や、他者に対して恒常的に恋愛感情や性的欲求を抱かないアセクシュアル、自分の性のあり方を探している状態にあるクエスチョニングなどと呼 ばれる人びともいます(ここで挙げた語の定義は一例で、さまざまな考え方があります。また、このような分類自体が差別の温存につながるのではないかという 主張もあります)。

 

 電通総研が全国の約7万人を対象に実施した2015年度の調査によると、自分が性的マイノリティだと考える人は約13人に1人(7.6%)存在しており、非常に身近な存在であることが明らかになっています。


  性的マイノリティは身近なところで様々な生きづらさを感じています。例えば、自分の性的指向(どちらの性別を好きになるか)によっていじめや差別を受けた 経験がある人は約7割にのぼることが2013年のある調査(注1)により明らかになっています。また夫婦のように長く連れ添っている同性の恋人がいる場 合、恋人が交通事故などで入院した際に“家族ではないから”という理由で面会を拒否されてしまうという問題が起こっています。また、トランスジェンダーの 人びとは、衣服や日常のさまざまな場面で、自身の心の性と異なる性別でのふるまいを余儀なくされるなど、普段の生活において多くの困難を伴うことがありま す。


  この他にも性的マイノリティが感じる生きづらさは様々ありますが、それに耐えられずに精神的に追い詰められる人も少なくなく、2008年に日本で実施され た調査(注2)ではゲイ・バイセクシュアル男性の自殺未遂率は異性愛者の約6倍であることが示されました。このような現状を重くみた法務省では、「啓発活 動年間強調事項」に「性的指向を理由とする偏見や差別をなくそう」「性同一性障害を理由とする偏見や差別をなくそう」という項目を入れています。


 しかしながら性的マイノリティが直面する困難はいまだ数多く存在しており、一刻も早い対策・解決が求められます。

注1:いのちリスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン(2014)「LGBTの学校生活に関する実態調査(2013)」
注 2:Hidaka, Y., Operario, D., Takenaka, M., Omori, S., Ichikawa, S. and Shirasaka, T(2008)”Attempted suicide and associated risk factors among youth in urban Japan.”  Social Psychiatry and Psychiatric Epidemiology, vol.43, no.9, pp.752-757.




1-1. 上記のような性的マイノリティが直面する困難をご存知でしたか?AEのうちで、最もよく当てはまる答えに○をつけてください。


【A】非常によく知っていた

0%

0

【B】ある程度は知っていた

81%

30

【C】あまり知らなかった

16%

6

【D】全く知らなかった

0%

0

【E】その他

0%

0

【記入なし】

3%

1

 


1-2. 性同一性障害の人びとが直面する困難を人権問題としてとらえて早急に解決する必要があると思いますか?AFのうちで、最もよく当てはまる答えに○をつけてください。


【A】人権問題であり、早急に解決する必要がある

51%

19

【B】人権問題ではあるものの、現時点では解決する必要はない

3%

1

【C】人権問題ではないが、早急に解決する必要がある

11%

4

【D】人権問題ではないし、現時点では解決する必要はない

0%

0

【E】わからない

16%

6

【F】その他

16%

6

【記入なし】

3%

1

 


1-3. 性同一性障害以外の性的マイノリティ(性同一性障害ではないトランスジェンダーや、同性愛、両性愛など)が直面する困難を人権問題としてとらえて早急に解決する必要があると思いますか?AFのうちで、最もよく当てはまる答えに○をつけてください。


【A】人権問題であり、早急に解決する必要がある

43%

16

【B】人権問題ではあるものの、現時点では解決する必要はない

5%

2

【C】人権問題ではないが、早急に解決する必要がある

11%

4

【D】人権問題ではないし、現時点では解決する必要はない

3%

1

【E】わからない

19%

7

【F】その他

16%

6

【記入なし】

3%

1

 


1-4. 性的マイノリティの直面する困難を解決するための以下ⅰ~ⅵのような施策は福島県において必要であると思いますか?ADのうちで、最もよく当てはまる答えに○をつけてください。また、明確な理由がある場合は併せてお答えください。

 

ⅰ 性的マイノリティに対する差別を禁止する条例を制定する


【A】はい

35%

13

【B】いいえ

14%

5

【C】わからない

30%

11

【D】その他

16%

6

【記入なし】

5%

2

 


ⅱ (婚姻に準ずる)同性パートナーシップ制度などを導入する


【A】はい

35%

13

【B】いいえ

19%

7

【C】わからない

27%

10

【D】その他

14%

5

【記入なし】

5%

2

 


ⅲ 同性愛・トランスジェンダー・性同一性障害などを含めた性の多様性に関する学校教育を充実させる


【A】はい

68%

25

【B】いいえ

11%

4

【C】わからない

19%

7

【D】その他

0%

0

【記入なし】

3%

1

 


ⅳ 性的マイノリティに対する差別や権利侵害に特化した相談窓口・救済機関等を設置する


【A】はい

65%

24

【B】いいえ

3%

1

【C】わからない

19%

7

【D】その他

8%

3

【記入なし】

5%

2

 


ⅴ 各種申請書類などの公文書における不必要な性別欄を削除、または柔軟な対応を行う


【A】はい

46%

17

【B】いいえ

8%

3

【C】わからない

30%

11

【D】その他

11%

4

【記入なし】

5%

2

 

 

ⅵ 公的施設におけるユニバーサルトイレ(男女の性に関係なく誰でも利用可能なトイレ)の設置を推進する


【A】はい

49%

18

【B】いいえ

19%

7

【C】わからない

24%

9

【D】その他

3%

1

【記入なし】

5%

2